資源回収のこれまでの流れ
資源回収を開催する団体様と助成金を管理する役所の方々へ
今回の内容は下記の通りとなりますが、過去の状況から現在の仕組みまで、過去40年近い営業実績からなる知識を含め、投稿したいと存じます。
お時間の許す限り、ご一読いただければ幸いです。
テーマ
1.過去の資源回収~現在までの流れ
2.助成金の金額を含む様々な立場の理想のかたち
3.まとめ
ということで、これから記載する内容は、佐く間商店有限会社の起業以前(投稿者48歳が児童だった頃からの思い出も含める)からの体験談をもとに、書き込む事実に基づいた投稿です。
1.過去の資源回収~現在までの流れ(学校の資源回収をメインで書き込みます)
私が小学生だった頃の古紙は、現在よりもかなり相場が高く、地元の小学校で資源回収を開催すると、一度に集まる古紙はおよそ30tほどでした。
弊社会長から聞く話によると、一度の資源回収で弊社が買い取りをする金額は、当時10万円~30万円は当たり前だったそうで、年間にすれば30万円~100万円はPTAの特別会計の収入があった事になります。
確かに現在よりも、自動車を利用する台数は少ないかわりに、児童や生徒が人力でも持ち寄り、集積場所は常に大勢の方が集まっていたと記憶しております。
当然、資源回収の真の目的は買い取った金額を特別会計として、各団体は有効活用する訳で、さまざまな物品や備品の購入に充てられたかと、安易に想像できます。
これは、税金で賄った場合では、欲しいから直ぐにもらえる予算は無く、財源を取りつけるため、会議や市議会に挙げてもらう通常予算では、かなりの時間が経過するか、予算が充てられない可能性もあるからです。
また、資源回収の表立った目的は、地域に資源を大事にする心を養い、分別の必要性や意義を理解してもらう事もあります。
40年前には児童や生徒が当たり前に関わり、回収を手伝った地域が、現在では授業時間の減少に伴い、PTA(大人たち)だけで集荷している団体が増えております。
現在でも児童や生徒が手伝っている地域と、PTAだけで集荷している地域では、いくつかの違いが出ており、資源回収の本質がかけ離れだしていると感じざるを得ません。
実際にPTAだけで集積をおこなっている地域では、以下の様な事もおきております。
良い点
・事故や怪我がおきにくい
子どもが地域を往来しないため。
・開催時間を管理しやすい
現在の役員はスマホで状況のやり取りができ、応援要請もできるため。
・参加者の出欠や集荷状況の把握ができる
集荷中ではなく個人判断で帰宅している方も過去にはおみえでしたが、全員が集積場所に集まっていなくても、連絡が取りやすい。
・有事の際に代表の判断で対応しやすい
悪天候時や事件事故により、対応を求められる際に、連絡がつかない要員はほぼいないため。
悪い点
・集積時間を守らない
チラシや回覧板で告知して、集積が終わっていても、自身の都合で出してしまい、あとで役員が回収に回る。
・集積場所以外でも平気で古紙を放置するので回収漏れが出る
決められた場所以外でも平気で置き去りにする事案もあった。
・選別や分別の知識が乏しく混合して出す
資源回収の経験が無く、回覧板やチラシも読まないため、自分の判断基準で、雑多な荷物を一つにまとめ上げ、集積場所へ搬入する。
・資源とならないゴミ扱いの荷物と知りつつ平気で出す
中小企業や個人商店等の事業所が多いのですが、弊社が事業所へ段ボール回収に伺った際「これはゴミになりますので産業廃棄物へ処分費用を払い捨ててください」と説明した荷物が、地域の資源回収で出されており、回収要員の知識で判断できずに荷受けしてしまう。
(この場合、産業廃棄物を回収することはできないので、各団体の責任の下で処分をお願いしております)
・企業から委託を受けた古紙を資源回収として依頼する
本来、事業所から排出される古紙(段ボール、新聞紙、雑誌、牛乳パック、ボロ布、アルミ缶、スチール缶等)は資源回収の回収品目には含まれません。
特に助成金の対象は、一般家庭から集まる古紙をターゲットに開催されております。
簡単に思いつく内容は以上ですが、良い点ではスマホの普及が主となりますが、悪い点で特に差がつくのは分別についてと、荷物を出す自身の経験不足により、迷惑行為という自覚が無い事が手に負えません。
近年の親世代では、子供時分に資源回収に関わった方が多いため、分別がされていた事が、現在でも多少なりとも覚えている方ばかりです。
しかし、今後は資源回収に携わった経験の無い世代が、古紙を排出するため、分別の必要性も理解せず、ただやみくもに自宅の邪魔な荷物を処分するという目的となってしまいます。
理由としては、集積場所で未分別の荷物の対応をした経験が無く、その行為に迷惑をこうむっていれば、少しでも協力的になるはずですが、私一人くらい良いだろうと考えてしまいます。
実際に、買い取り単価が高額なアルミ缶を例に挙げると、瓶缶ボックスの時の様に、混合で出す方がいると、集積場所で分別を行います。
夏ではゴキブリが出たり、飲み残しのある見た目にも汚い袋を破って選別するのは、気持ちの良い行為ではありません。
児童や生徒がアルミ缶の選別作業を現在でも手伝う学校では、その親世代も同じく手伝ってきたため、混合物が排出されにくく、選別作業以前に、水洗いまでしてある率が高いのです。
そのような気遣いのできる方々が多いのは、自分の体験から襟を正し、迷惑行為に発展しない事にもつながります。
また、ゴミ出しについても同じです。
ゴミの集積場所へ資源を平気で出して、燃えるゴミとして捨ててしまう住民がいます。
これは、資源を大事にすることもそうですが、分別に関わった事がないため、どうしてよいのか分からない方が多いためだと思います。
昨年も豊橋市の資源化センターで、ゴミの排出量が増えすぎて、焼却炉が壊れてしまった事案も記憶に新しいかと思います。
ゴミの減量に努めるのも、必要性を理解しないのも、資源として守らなければならないルールも、幼少期からの教育次第だと現場で通関させられます。
2.助成金の金額を含む様々な立場の理想のかたち
上記でもありました、過去には高価買い取りをおこなっていた、資源回収をおこなうメリットのある古紙も、バブル崩壊後におとずれた、古紙の価格崩壊により、資源回収を開催するメリットが薄くなりました。
当然労力にあわないため、資源回収を取りやめる団体も出てきて、日本各地で燃えるゴミに混入する古紙が問題となりました。
およそ20数年ほど前にリサイクルブームが巻き起こり、「伝線した不要なパンストで古紙を縛りリユースする」なんて事もメディアでは取り上げられました。
不景気のためだったのか、取り上げるニュースも不足気味だったのか、リユースやリサイクルブームをメディアが取り上げると、一気に古紙の回収率が上がり、製紙メーカーの需要と供給のバランスを大きく超えて集荷してしまいました。
結果として集められた古紙も変色し、等級が下がるため、荷受け先の買い取り単価もどんどん下がってしまいました。
その頃では弊社の売り先へ、雑誌を搬入すると1tあたりの購入は-500円でした。
つまり、資源回収で30tの古紙が集まると、買い取り単価が安いため、団体へのお支払い金額は数百円程度という時期も長く続きました。
結果として、費用対効果は少なく労力の多い資源回収を中止する団体が増え、燃えるゴミの増量に拍車をかけたため、市役所は助成金を賄うことを決めたのです。
実は助成金を賄うに至るには、弊社も加入しておりました青年資源部会(以下JRCと呼ぶ)という団体が市役所へ掛け合ったためでした。
当時の資源回収でおよそ30tの集荷を引き受けた場合、弊社のトラックが3台出動し、大型トラックを含む台数は5~6台で、半日がかりの利益はおよそ5,000円程度(必要経費を含めると大赤字)だったと記憶しております。
小さな資源回収では、150円しか利益が無く、燃料費すら出ないところも多々ありました。
そんな業者にメリットの無い資源回収を、継続して引き受ける場合は生活できないことを市役所へ理解いただくとともに、各業者へ適正マージンが出るように配慮を求めるため、市長へも陳情へ伺い、当時の廃棄物対策課の課長をはじめ、JRCの会議に職員2名をお招きし、現状を把握していただきました。
そして、市役所からの回答は「各事業所への手数料を市役所が賄うことは無理ですが、資源回収を開催する団体へなら助成金として賄いますので、助成金から運搬費を各団体へ請求してはいかがでしょうか?」という答えでした。
結果として、資源回収を開催する各団体へ市役所から助成金制度が設けられ、各業者へ支払われることはありませんでしたが、雑誌の荷受け先から求められる-500円/tを回収業者が被ることが無くなったのは、私がJRCの会長を務めていた頃でした。
そして時は流れ、古紙の買い取り金額が高騰する切っ掛けが訪れます。
当時の製紙メーカーは、「契約トン数以外を購入する場合はかなり安価でなければ荷受けしません。ただし、他の工場などへ古紙を販売した場合は、その先の契約トン数を下げます」という威圧的な契約だったと耳にしております。
助成金の話が決まる以前のJRCでも、火力発電所へ燃料として買い取りができるという話まで、当時の会長がこぎつけましたが、リサイクル業者であるにも関わらず、燃料として販売しても良いのか?という立ち位置から、価値を高める流れを却下したこともありました。
話が逸れましたが、製紙メーカーの威圧的な取引も長く続かず、増え続ける在庫を管理できる倉庫も無く、入荷してもらえる約束もない製紙メーカーの態度にしびれを切らし、ついに紙くずの問屋も中国への販売ルート確保に動き始めました。
海外にも品質が良いと好印象だった日本の古紙は、瞬く間に売り先を確保し、古紙の値段も高騰しました。
結果として、高値安定を続けられたのは古紙問屋の努力と、製紙メーカーへおんぶにだっこする仕組みを見限ったことから始まりました。
また、JRCから始まり、助成金制度が確立され、豊橋市役所と回収業者のパイプができた事で、古紙リサイクルヤードとして広報とよはしにも案内されるようになりました。
その頃には、廃棄物対策課から毎年のようにご意見伺いの連絡もありました。
内容は助成金制度の見直しについてでしたが、各回収業者の意見を踏まえて、次年度の助成金の在り方を検討するためとの事でしたが、答える業者の立場によって、その返答はまちまちであったと安易に予想できる設問でした。
過去に資源回収を開催した場合の助成金対象の条件などで、開催する団体が盛り上がっていたのは、「年間3回開催すれば、1回につき1万円(年3回で3万円支給)+回収量1kgにつき全品種5円となるように年初に金額を設定する」という内容でした。
つまり、各地域で年3回開催され、大量に集荷するほど高収入となる仕組みですが、雑誌-500円/tの買い取り単価であれば、年初に5,500円/tを支給しますという決定をする流れでした。
ただし、どれだけ小さな団体で、最低数量の基準の無い助成金制度でしたので、年間100kgほどの回収量の団体でも、取り決め通りの資源回収をおこなった場合は、30,500円が入金されるため、市役所もこの制度を見直す流れとなりました。
私はこのころ国内の数か所の資源回収の助成金の情報を得られる立場にあり、他の地域では回収した1kgに27円の助成金を出しますという地域もありました。
ゴミの集積場所へ資源を出された場合、資源化センターで燃やす経費と、回収作業員等のコストを算出すると27円/kgになるそうで、それに比べれば豊橋市の仕組みはもう一つ改良の余地があったと言えます。
そのため、小さな回収量の資源回収を減らしたい豊橋市から最後に来た質問(その回を最後に意見伺いは来なくなりました)は「回収団体に量を集めてもらうにはどうしたら良いのか案はないですか?」という質問へ「集めた量により年3回の1万円支給する金額を変動制にするべきです。また、年間の回数も多いほど各家庭の処分できる回数も増えるので、集荷率は上がります」と私は応えたところ、次の年から年〇回の回収に支給される制度は撤廃され、重量に対する支給額を上げる制度を役所は選択しました。
これについては私は電話でも反対しておりましたが、翌々年から町内会や保育園等の小さな資源回収を取りやめる団体は増えました。
結果として、冒頭に書き込んだ、事業所へ段ボール等を寄付してもらい、数量だけ多くなった資源回収を開催する団体が増えた訳で、実質のゴミに出される数量が減っていると業者の報告数量を手柄に立てている市役所職員もいるかと思われます。
これについては、各地にある古紙集積場所(スーパー等にある回収コンテナ)の効果が出ているのでは?と推測され、ゴミの集積場所へ安易に出す市民の意識改革が行われたと、考えるには尚早かと考えられます。
このテーマでいうそれぞれの立場の理想のかたちでまとめるのであれば、学校のように前面に出て関わる場合は、売却益は多いほどメリットは大きいでしょう。
ただし、主催するPTAのような団体であれば、回収量が多いというのはあくまで目安であり、掲げる目標でもあります。
今年度の三郷保育園の母の会では、「過去最高を目標」に資源回収を開催しておりますが、一昨年前は資源回収を開催するメリットが薄いという判断から、資源回収を行事から外してしまいました。
しかし、リーダーシップを発揮する会長が、数字も分かりやすい目標を掲げ、一丸となって活動をする資源回収は、役員さん全員が楽しそうに取り組んでおります。
そして業者目線で言えば、近年も再度メディアによって雑紙報道をされたため、古紙の回収率が上がり、なおかつ雑誌扱いの荷物が急増し、在庫過多の状況へと陥り始めておりますが、前向きな役員さんの開催する資源回収では、採算度外視でも応援したくなります。
数年前から中国への輸出も激減し、出荷先の確保がままならない状況ですが、今後はインドへ交渉をおこなっているようで、インドのルートが確保できなければ、古紙の値上げは厳しいのでは?という見方は強いようです。
以上のことから、主催する団体、携わる職員、依頼を受ける業者と、それぞれの資源回収へのモチベーションは主催者の気構えにより左右されると考えられます。
3.まとめ
現在、再度古紙の価格破壊状況へとなりつつあり、在庫過多の問題をはじめ、適正マージンの確保も難しくなっている状況にあります。
買い取り業者の立場で言えば、単価の高騰が理想ですが、これまでもお付き合いしてきたように、皆様の回収する意欲を応援したい気持ちもあります。
しかし、資源回収を主催する団体の中には、「例年続けてきた事業なので仕方なく開催している」という姿勢の役員さんの年が多々目につくようになりました。
TPOというか、資源回収をおこなうに相応しくない服装や、荷物を運ぼうという気持ちの無い方も、はたから見ていると一目で分かります。
業者の立場からひと言申し上げますと、適正マージンの確保できない業務であれば、一分一秒でも早く帰社したいところですが、それも叶わなくなります。
また、集荷量の少なさを全く気にしない役員さんもありますが、乗用車で運搬できる量であれば、業者のトラックを手配できなくなります。
実際に知り合いの業者では、発生量の少ない資源回収を数件お断りしたと、報告を受けております。
せめて役員さんが努力して、少しでも集荷量が増える努力をしたという姿勢があると、業者としても引き続き回収をおこなうモチベーションが生まれます。
上記にもありました、会長が分かりやすい目標をたて、役員さんを鼓舞奮闘することで、資源回収の雰囲気はガラッと変わります。
できれば小中学校の資源回収では、児童や生徒も関わった資源回収を開催し続けて、親へと成長した先に、分別などが当たり前の社会になっている未来を望んでおります。