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製造業の先行きで想うところ

製造業の先行きで想うところ

2023-02-08

現在、町工場というか、個人経営の鉄鋼場というか、金属加工業を創める人が少ないと思いませんか?

 

というか見かけませんよね。

 

以前ならば、工場勤務をして知識と技術力を高め、資金を貯めて、工場を設立したかと思いますが、現在では取引先に恵まれない限り、新規開設を計画する若者は皆無ではないでしょうか。

 

その理由は、銀行からの融資が受けられない、つまり返済計画に組み込む取引先の確保もままならないのが現実です。

 

例えば修行先の工場と良い関係を構築しても、経営コンサルタントが「義理と人情は必要ありません」の一言で、下請け先をバッサリと切り捨てる経営者はこれから増えていくでしょう。

 

信頼を置ける技術を持った町工場よりも、基準をクリアしていれば必要最低限の品質を保ち加工するだけの下請け(加工賃の安い下請け)を選択し、そこを利用する取引先といった具合にもなりそうです。

 

少し前に私と従業員との会話で「これからの町工場はキャバレーやスナックのホステスさんが開業するかもしれない」と冗談交じりに言ったことがあります。

 

工場の社長さんや担当者と仲良くなり、仕事をもらえる仲に発展すれば、安定した収入を確保できるという笑い話です。

 

その関係を見た銀行が融資を決めるとは実際のところ思えませんが、取引先の担当者や社長との関係の構築ができなければ、工場の稼働もままならないという事です。

 

また機械を購入して工場を始め、一旗揚げようという若者もなかなか出てきません。

 

そうなれば、現在の町工場だけが頼りで、経営者の高齢化や跡取り不在の問題、はたまた従業員不足により最終的には閉業という流れを決めている方も多いのではないでしょうか。

 

できることならもっと気軽に設立できる世の中になってほしいところです。

 

また、さまざまな業種の会社が廃業され、工場が多かった地域でも新興住宅地となり、苦情で悩む会社も多くなっています。

 

そんな感じでいろいろな要因から、起業しようと思う方も少なくなっているのかもしれません。

 

過去の日本は製造業が盛んで、輸出をして外貨を稼いでいた部分も多かったのですが、最近では海外へと製造拠点を移してしまい、国内での製造を少なくしてしまった大手企業が目につきました。

 

他にも、下請けの工場へ高性能な機械の購入を持ち掛け、設備投資をおこなった途端に依頼する仕事を減らし、金策に苦しんだ経営者へ工場の買い取りを迫る、そんな悪質な大手企業もあると聞いております。

 

新型コロナウイルスの蔓延やロシアとウクライナの問題、そして円高の影響からここにきて国内へ生産拠点を戻す企業も増えてきておりますが、できれば中小企業の製造業を盛り上げて頂きたいですね。

 

できる事なら今のうちに新規起業をされる方を国で応援し、小さな町工場を増やす計画もしてほしいところです。